多くの人と関わることができる旅館経営はとても素敵な仕事ですが、体力が問われる仕事かもしれません。
高齢を理由にリタイアを考える経営者の方も多いですが、そこで浮彫になるのが後継者問題です。
継いでくれる人がいなければ、廃業する選択肢もありますが、売却というスタイルを選ぶこともできます。ただ、一般的な不動産売却とは違い、旅館という特殊な不動産の売却は不安点が多いものです。
それでは、旅館を売却する背景や売却で押さえておきたい注意点などをじっくりお伝えしていきます。
▼旅館売却の悩みをスッキリ解決! |
旅館の売却とその方法について分からないことがあるとモヤモヤすることって多いですよね。 「旅館の売却で失敗したくない…」 「旅館を売る方法が分からない…」 「何も問題なくスムーズに売りたい…」 今回は、このような悩みを持った方に対して、できる限り分かりやすく細かく解説しています。 |
▼本記事の結論とポイント |
旅館を売却する場合、多くの時間がかかります。 旅館を売却をする前に一度廃業届を出しますが、ここでの手続きに時間を要してしまう事がほとんどです。そのため、すぐ売るということが難しく、長い時間がかかってしまうことを把握しておきましょう。 その手続きを経てようやく不動産として売却になるのですが、多くの方が旅館跡地として、適性価格で売却できているのかが分からないため、失敗や放置してしまう事も多くあります。 もちろんそのまま放置していると税金が多くかかってくるため、ほとんどの方が売却や活用してお金に変えています。そうした時におすすめなのが不動産のネット査定です。 もし、既に決めている不動産屋があれば良いのですが、まだ決めていない場合は「イエウール」や「タウンライフ」を使うことで土地の状態や環境に合った売却価格を知れたり、相談することができます。 先に結論を見たい方は、本記事内の「旅館売却に関するまとめ」に飛ぶとすぐに確認できます。 |
旅館の売却を考えるタイミングについて
宿泊施設と言って頭に浮かぶのは、旅館やホテルなどです。
違いについては、細かい定義が定められていますが、簡単に言うと「和風の佇まいで入浴施設が備わっている宿泊施設が旅館」、「ベッドなど洋式の寝具で各部屋にカギがついているのがホテル」というイメージです。
旅館と言えば、温泉街や観光地には欠かせない宿泊施設で、多くの人が一度は利用したことがある馴染み深い宿泊施設かと思います。
ただ、長く旅館経営を続けていくと、
・施設が老朽化して改修に費用がかかる
・ライバル旅館が増えて経営が悪化した
・自然災害によって地域の観光客が減少した
・高齢になって体力がもたなくリタイアしたい
などの問題点が起こっていきます。
こうしたさまざまな理由が、旅館の売却のきっかけとして考え始める人も多いです。
「事業承継」「事業譲渡」「事業買収」とは?
売却する前に考えたいのが自分の代わりに経営をしてくれる人がいないかということでしょう。事業を誰かに引き継いでもらうとき、「事業承継」「事業譲渡」「事業買収」という言葉を耳にするかと思います。言葉そのものがとても似ているので混同されがちですが、その違いについて簡単に説明していきます。
◎後継者に事業を引き継いでもらう「事業承継」
一般的に、従業員数が少ないパターンでは、経営者が年齢や健康問題で退陣するときに、事業承継を行うパターンが多いようです。
親から子供、兄から弟…というように親族間で経営が引き継がれるのは、中小企業の事業継承の典型的なスタイルだったかもしれませんが、子供や兄弟の数が減っている現代では、従業員へ承継するケースも増えています。内情を知り尽くしている従業員なら、承継もスムーズなのかもしれませんね。
第三者へ売却する「事業譲渡」
事業を第三者に買い取って引き継いでもらうのが事業譲渡です。この事業譲渡では、「どこまでを譲るか」を部分的に設定できます。
事業買収とは?
事業の売却で「買収」という言葉も、おそらく多くの皆さんが耳にしているかと思います。
似ているので、かなり混同されていますが、大きな目でとらえると同じ意味合いと言えるでしょう。事業を「譲りたい!」という売主側から見ると「事業譲渡(売却)」、事業を「買い取らせて!」という買主側から見ると「事業買収」という表現になります。
また、さきほどもお伝えしましたが、事業譲渡は部分的に買い取ってもらう内容を選択できます。一方の事業買収のほうは、経営権を買い取ることです。
旅館業で増えている?M&Aについて
古くから活躍してきた経営者が年齢を重ね、「子供がいない」「子供はいるけれど継ぐ意思がない」など、後継者問題から旅館を売却するケースが見られます。引退にともなうさまざまな問題の解決策として、?&Aも増加している傾向にあります。
横文字で分かりにくいと感じている人も多いかもしれませんが、『合併(Mergers)』&『買収(Acquisitions)』を略したものが?&Aです。
合併とは、言葉の意味そのままで複数の会社が1つになることです。株式の割合にもよって、大きな規模の会社に吸収される合併の方が多いでしょう。
また、買収とは、片方の会社がもう片方の会社を買い取ることで、買い取った方の経営者の支配権が高まります。
旅館を譲渡(売却)するメリット
旅館売却には、いくつかのスタイルがありましたが、メリットを見てみましょう。
形を残しておける
廃業しなくてもよいため、旅館の形を残しておけます。
金銭的な面でのメリット
「事業承継」で身内や従業員のなかから後継者がいればいいですが、「継いでくれる人がいないから旅館業をやめる」という選択もあるでしょう。ただ、いったん廃業してから旅館を売却するよりも、従業員がいる状態で売却や合併する方が、利益が残るケースもあります。
従業員を守ることができる
旅館の規模にもよりますが、従業員が数十人と大勢いるケースは多いでしょう。経営者が廃業を考えても、従業員としては「続けていきたい」と思うこともあるかもしれません。これまで一緒に頑張ってきた従業員が、廃業によって働く場所がなくなるのは、避けたいところですよね。売却によって雇用を続けられれば、そういった雇用問題も解決できるのがメリットです。
売却で注目されるポイント
これまで、譲渡や買収について説明しましたが、良い条件の旅館ほどスムーズで納得のいく売却ができるでしょう。
主に、注目されるのが「立地」です。
周辺の観光地や大型施設など、客が集まってくる立地かどうかはチェックされる項目のひとつです。車で訪れる人が来やすいかどうか、道路状況がよいか、車を持っていない人が電車やバスで来やすいかなども重要事項でしょう。
また、すでに廃業している旅館なら、注意すべき点も増えてきます。普通の住宅と違って、買い手が限定されるのには注意しなければなりません。
一般の個人が「旅館を買いたい」ということはないため、投資をしたいと考える法人や投資家向けの物件になります。ただ、使われていない時期が長いほど、建物の劣化が進み「修繕しなければ使えない」という状態になっています。なかには、「取り壊すしかない」というケースもあるでしょう。大きな解体費用がかかるため、「傷む前に売ればよかった」と思うかもしれません。
建物を解体すれば、住宅用地などにすることも可能ですが、そもそも温泉街などの立地であれば、難しいかもしれません。
旅館の売却に関するまとめ
このように、旅館の売却を考えているのであれば、廃業前か廃業後かでは注意すべき点も異なってきます。事業用の物件であるからこと、不安な点、分からない点も多いものです。
「売るかどうか」は別にして、売却を考え出したのであれば、早めに専門家に相談し、「どんな方法があるのか」「どうした方が得策か」「どのくらいの価値で売れそうか」など、総合的な視点からアプローチが大事です。選択できるすべてのケースを比較しつつ、納得のいく選択をしていきましょう。
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