土地を所有しているけれども活用ができていないので、何か良い活用方法がないか探している人は多いでしょう。
たとえば賃貸アパート経営やトランクルーム経営、太陽光発電など、土地活用方法にはいろいろなものがありますが、中でも駐車場やコインパーキングの経営は、オーソドックスでありながら、メリットもそれなりに大きい方法です。
そこで今回は、駐車場、コインパーキング経営の基本的な方法と、土地活用において優れている点(メリット)を7つご紹介します。
この記事は、
1.使っていない土地を所有している
2.駐車場経営がどういうものか知りたい
3.駐車場経営の具体的な始め方を知らない
そう考える方にオススメです。
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土地を利用した駐車場経営とは
土地活用の方法として、駐車場経営は昔からあるオーソドックスな方法ですが、このように長年利用されているのは、これが使いやすくメリットのある土地活用方法だからです。
ただ、土地活用の初心者の場合、具体的にどのようなものかわからないかもしれないので、簡単に説明をします。
駐車場経営とは所有している土地を駐車場にして賃貸し収益を得ることです。
月極駐車場にすることもありますし、時間料金が基本のコインパーキング(時間貸駐車場)にすることもあります。
経営を行うときには、自分ですべての管理をすることもできますが、多くのケースで不動産業者や駐車場業者と何らかの契約をして、管理や利用者の募集などを代行してもらいます。
駐車場経営の種類
駐車場経営には種類や経営方法がいくつかあり、主に月極駐車場とコインパーキングの2種類です。
月極駐車場の経営
月極駐車場経営とは、特定の人とある程度の長期間駐車場契約をして賃料を毎月支払ってもらう方法です。
また、月極駐車場には
「不動産業者に管理委託をする方法」
「不動産業者に一括借り上げをしてもらい賃料保証してもらう方法」
があります。
一括借り上げ方式にすると、管理委託方式よりも不動産業者に支払うコストが高額になります。
コインパーキング方式の経営
コインパーキング方式の経営とは、時間単位で駐車場を貸し出す方法です。
この方法には
「自己経営方式」
「土地賃貸方式」
があります。
自己経営方式の場合
コインパーキング業者に賃料の管理や運営、集客などを依頼しますが、駐車場の整備などは自分で行います。
土地賃貸方式の場合
土地賃貸方式は、コインパーキング業者に土地を丸ごと貸して業者に駐車場経営をしてもらい、自分は土地の賃料を受けとることになります。
月極駐車場とコインパーキングはどちらが得か
月極駐車場とコインパーキングを比較すると、同じ条件ならコインパーキングの方が収入が高くなることが多いです。
ただ、コインパーキングは、需要の高い場所でないと成功しにくいですし、収入が安定しないおそれがあります。
また、料金精算機などの設置が必要なので、その分月極駐車場よりも初期投資がかかり、駐車スペースが狭くなります。
駐車場経営の初期投資費用
駐車場経営をするとき、初期投資費用としてはどのくらいかかるのでしょうか?
以下で見てみましょう。
駐車場経営は土地の舗装が必要となるケースが多い
駐車場の初期費用は、月極駐車場かコインパーキングかで異なりますし、アスファルト舗装が必要かどうかなどによっても異なります。
以下では、舗装が必要なケースで車止めを設置する前提で説明をします。
3つの整地費用
未舗装の土地を駐車場にする場合、まずは地盤を固めないといけません。
このとき、
・堀削や残土の処分費用
・砕石や敷き詰めの費用
・転圧費用
これらが必要です。
整備に必要な金額
具体的には、堀削費用が1立法メートルあたり2000円程度、残土処分費用が1立法メートルあたり1立法メートルあたり5000円程度となりますが、残土は空気を含むと膨らんでしまうため、1.2倍くらいになります。
そこで、残土処分費用は1立法メートルあたり6000円程度を見込みましょう。
砕石費用は、砕石の種類によっても異なりますが、1立法メートルあたり3000円~4000円程度くらいと考えましょう。
ここまで、1立方メートルあたりの費用を計算しましたが、実際には、駐車場の整地は深さ10センチメートル程度で良いので、1立法メートル単価の10分の1とします。
すると、200円(堀削費用)+600円(残土処理費用)+400円(砕石費用)=1200円程度が、1平方メートルあたりの単価となります。
これに足して、砕石の敷き詰め費用や転圧費用がかかり、だいたい合計6万円くらいになります。
以上を前提に計算すると、たとえば、100平方メートルの駐車場の整地費用は、100平方メートル×1200円+60000円=18万円となります。
【整地費用の計算式】
(駐車場の広さ)㎤×1200円+60000円=整地費用
未舗装時の区画ロープ張りの費用
駐車場が未舗装の場合、駐車スペースの区画のロープ張りが必要です。
これについては、1メートルあたり50円くらい、ロープを固定するためのペグは1本200円くらいです。
自分で設置すればこの実費だけで済みますが、業者に設置を依頼したら作業員の費用がかかるので、全部で5万円くらいで設置できます。
未舗装時のアスファルト舗装
経営しようとする土地が未舗装の場合、アスファルト舗装をすることが多いです。
駐車場用のアスファルトは5センチメートル程度の厚さにします。そのためには、整地と同様に、掘削と砕石が必要になります。
アスファルト舗装の費用は、1平方メートルあたり3000円くらいで、整地費用と合わせると1平方メートルあたり4000円~5000円くらいになるのが一般的です。
コンクリート舗装の費用
コンクリート舗装の場合も堀削と砕石の敷き詰め、転圧などの整地の工程はアスファルト舗装の場合と同様ですが、コンクリート舗装の場合、アスファルトよりも深く堀削しなければなりません。
その分少し手間と費用がかかります。
また、特にコンクリートはひび割れしやすいので、適当な間隔をとってスリットを入れなければなりませんし、ワイヤーメッシュという補強材を入れないといけないので、アスファルトより高額になります。
具体的には、安くても1平方メートルあたり5000円、場所によっては1平方メートルあたり1万円にもなります。
だいたいの相場としては7000円~8000円くらいですが、土地が広いほど単価が下がる傾向にあります。
このように、コンクリート舗装はアスファルト舗装よりも費用が高額ですが、メリットもあります。
コンクリート舗装はアスファルト舗装よりも耐久性が高いため、補修費用があまりかからないことです。
そこで、長期にわたって駐車場を経営するなら、初期費用を少々かけてでもコンクリート舗装にすることを検討すると良いでしょう。
ライン引き・車止めの費用
アスファルト舗装にした場合やコンクリート舗装にした場合、駐車スペースを区切るために区画ラインを引く必要があります。
また、コインパーキングなどの場合、番号をつけることも多いです。
ライン引きの費用は、10台分で5万円程度が相場となっています。
番号をつける場合、文字数×数百円などの単価で依頼できる業者が多いです。
車止めは、1個3000円くらいですが、1区画スペースには2個つけることも多いので、その場合、1台分について6000円くらいになります。
歩道の切り下げの費用
駐車場を設置する場合、道路との出入り口を作る必要がありますが、そのためには歩道の切り下げをして、駐車場に進入できるようにしないといけません。
段差があるまま、ブロックやスロープなどを置いている例もありますが、このような対処は道路法に違反しているのでやめましょう。
歩道の切り下げをするときには、自治体への連絡が必要なうえ費用も高額です。
業者に事務作業まで丸投げすると、30万円~50万円程度はかかると考えましょう。
初期費用を業者に負担してもらえる方法
駐車場を設置する場合には、こうした初期費用がかかります。
全部足していくと「かなり高くなるな」と感じた人もいるでしょう。
ただ、駐車場経営の場合、駐車場業者との契約方法によっては初期費用を業者に負担してもらえることがあります。
それは、コインパーキング経営で、駐車場業者に対して土地を丸ごと貸してしまい、業者に全面的に駐車場経営をしてもらう方法(土地賃貸型)です。
土地賃貸方式で駐車場を経営してもらう
自分としては土地をそのまま貸すだけなので、必要な設備投資や管理などはすべて業者が行ってくれます。
ただ、その分収益は「土地の賃貸料のみ」になるので低くなります。
駐車場経営をすると、利用者が支払った料金を自分のものにできるのがメリットですが、土地賃貸方式を利用すると、自分としてはパーキング業者に土地を貸すだけで、駐車場の運営管理や収入の収受は駐車場業者が行うことになります。
駐車場の収入をそのまま自分がもらうことができないので、土地賃貸方式による駐車場経営としては、ローリスクローリターンの方法です。
駐車場経営をするときには、どのような方法が自分に一番向いているのかをよく考えて検討しましょう。
駐車場経営で得られる収入の事例
次に、駐車場経営でどのくらいの収入が入ってくるものなのか、見てみましょう。
立地条件によって収益差が出る
駐車場の収入は、駐車場の立地条件や場所によってかなり異なってきます。
たとえば、田舎や地方の月極駐車場なら月額賃料が2000円になることもありますし、都心で人気の場所なら月額賃料が5万円以上になることもあります。
また、月極駐車場かコインパーキングかでも、大きく費用が異なります。人気が高く稼働率が高い場所なら、コインパーキングの方が収益は大きくなります。
たとえば、駐車可能台数が10台の月極駐車場で、料金が1台3万円の場合、1ヶ月の賃料は30万円です。
これに対し、1時間の料金が200円の場合、1ヶ月の最大収入は200円×10台分×24時間×30日=144万円となります。
もちろん、コインパーキングの場合、24時間すべてのスペースが稼働しているということは通常ないので、これは仮定の金額ですが、それでも稼働率が高そうなら月極よりもコインパーキング(時間貸し)が良いのが分かると思います。
周辺賃料の相場を調べる方法
駐車場を経営するときには、周囲の賃料の価格相場を調べましょう。
そのため、「駐マップ」のサイトを使うと便利です。
(参照:駐マップ)
都道府県を選択したら、その地域内での平均賃料が出てきます。
対象となっているのは、地域内の月極駐車場です。
「カーパーキング」のサイトを見ると、都道府県別で月極駐車場の平均賃料や最低賃料、最高賃料を確認することができます。
(参照:Carparking)
地域別の駐車場の賃料平均
地域によっても賃料は異なります。
たとえば、東京都の場合、平均賃料は27000円程度、大阪府は16000円程度、愛知県の平均賃料は11500円程度となっています。
地方ではこれより下がり、多くの場所で1万円以下となりますし(平均は8000円程度)、5000円以下になることもあります。
駐車場の利回りは比較的高い
土地活用をするときに利回りを高くするためには、初期投資を抑えて高く賃貸ができるのが一番ですが、駐車場の場合、比較的利回りが高いです。
たとえば、賃料が8000円くらいの場合で、初期費用が高額になるコンクリート舗装をしても、利回りは50%近くになります。しかも、この金額は、比較的収入額が小さい月極駐車場のケースなので、コインパーキングにすると、より高い収益を上げることができます。
そこで、駐車場経営をするとき、稼働率さえ高くなったら初期投資を回収するのにさほどの苦労はしなくて済みます。
歩道の切り下げなどで高額な費用がかかっても、1平方メートルあたりの単価が1万円以下で済んだら、数年もあれば投資を回収できます。
駐車場の場合、賃料の金額は地域によって全く異なりますが、工事費用(初期投資)は地域間格差がないため、賃料を高額に設定できる都市部の方が、より有利になります。
駐車場経営の税金とランニングコスト
次に、駐車場経営にかかる税金とランニングコストを見てみましょう。
固定資産税、都市計画税
固定資産税と都市計画税がかかります。
これらは、土地を所有していると必ず課税される税金です。場所や土地の種類によって全く異なるので、具体的に自分の所有地に関して役所から届いている固定資産税納付書を見て確認しましょう。
駐車場の賃料を設定するときにも、最低限固定資産税と都市計画税を支払えるように金額設定をする必要があります。
所得税、住民税
駐車場経営によって収益を上げたら、事業収入を得ることになるため、所得税がかかりますし、その金額に応じて住民税もかかります。
日本では累進課税制度がとられているので、収入額が高額になると、所得税や住民税の金額も上がります。
ただ、整地、舗装をした場合、税務上は「構築物」として取り扱われるので、一定年数は減価償却をすることが認められて、その分経費として収入から差し引くことができます。
管理委託料
駐車場を経営する場合、不動産業者に管理委託をすることが多いです。
業者に依頼しないと、契約者探しや契約締結交渉、契約書の作成や賃料管理、清掃業務やクレーム対応などをすべて自分でしないといけないので、大変です。
管理委託をする場合、委託料は賃料の5%くらいが相場ですが、一括借り上げ方式によって全面的に業者に運営を委託すると、保証料は高額になります。
ただ、一括借り上げ方式を利用すると、空きが発生しても必ず賃料を支払ってもらうことができるのでリスクは軽減できます。
補修費用
駐車場を長年経営していると、アスファルトやコンクリートが傷んできますし、砂利の追加なども必要になります。
ただ、駐車場は比較的メンテナンス料金が安く、補修が必要になるとしてもさほど高額ではないので、補修について、大きな不安を抱く必要はありません。
駐車場経営のメリット
それでは、駐車場経営には他の土地活用方法と比べて、どのような点で優れているのか、そのメリットを見てみましょう。
多くの土地で対応可能
まず、駐車場経営はいろいろな種類や場所の土地で行いやすいです。
都市部なら需要も高く高額な賃料設定をしても貸し出すことができます。
田舎や地方でも道路にさえ面していれば、駐車場の需要はあるものです。
土地の大きさや形による影響も少なく、小さな土地や不整形の土地でも、とりあえず車を置くスペースがあれば駐車場にすることができます。
自己資金が少なくて済む
次に、自己資金が少なくても経営を始められることがメリットです。
駐車場の場合、建物を建築する必要がないので、賃貸アパート経営などより投資費用が少なくて済みます。
コインパーキングなら車止めや料金精算機が必要ですが、月極駐車場の場合には、それすらも不要です。
当初に整地と舗装の工事さえしたら、追加の費用もほとんどかかりません。
このように、初期費用が小さくて済むので、投下資本の回収は容易です。
収入が思ったほど入ってこなくても、大きな損失にはなりにくいです。
また、初期費用が安いので、借り入れをせずに経営に取り組めるのも安心材料の1つとなります。
このように、リスクが小さいため、駐車場経営は土地活用の初心者にもおすすめです。
途中で簡単に辞められる
駐車場経営のメリットは、いつでも簡単に撤退できることです。
土地活用の代表的な方法である賃貸マンション経営などの場合、賃借人が借地借家法で保護されるので、簡単に解約することができません。
建物建築のために莫大な投資をしていることやローンを組んでいることも多いので、初期投資を回収するまでは辞められない、という事情もあります。
これに対し、駐車場では借地借家法の適用がないので、解約も容易です。
駐車場の賃貸借契約で期間を1年と定めていても、特約によって途中解約可能としていたら、契約途中で解約することも可能です。
賃貸人からの解約を認める特約を入れるときには、1~2ヶ月程度の解約予告期間を定めて解約可能としておくと良いです。
コインパーキングの場合、業者との契約内容が問題となりますが、基本的に駐車場の設備や機器の設置を自分で行う自己経営方式なら、比較的簡単に契約を解約できます。
いつでも土地の売却ができる
駐車場経営をしているとき、たとえば、土地の市場価格が上がったタイミングなどには売却したいと考えることがあります。
このような場合、賃貸マンションを経営していたら、賃借人に出ていってもらうことができないので、賃借権がついている前提でしか売却ができませんが、駐車場の場合、更地に戻して売却することが可能です。
このことにより、売却価格を大きくアップさせることができることも多いです。
このようなことから、駐車場経営は土地の転売をする人も良く利用する方法です。
ある土地が安いときに購入してしばらく駐車場経営を行います。
この間、固定資産税や都市計画税+アルファの収入を得て、初期費用を回収し、土地の価格が値上がりしたタイミングで土地を売却するのです。
このことで、タイミングを逃さず土地を売却することができて、確実に転売による収益を得ることができます。
労力がかからない
駐車場経営は、労力のかからない土地活用方法です。
舗装をしなくても、砂利を敷いてロープを張ったらそれだけでできます。
コインパーキングの土地賃貸方式で駐車場を始めるなら、すべての準備を業者がしてくれるので、自分では何もしなくて済みます。
自分で管理するとしても、かんたんな清掃を行い、駐車場内での事故や不正利用対策をしていたら十分です。
さらに、賃貸住宅経営のような原状回復も不要で、利用者が1人解約したら、そのまま次の利用者に貸すことができます。
補修の必要性が小さい
駐車場経営というのは、上に建物が建っておらず、老朽化すべき構造物が少ないので、補修の必要性が小さいです。
アスファルトやコンクリートが傷んできたときに補修をしたり、砂利の敷つめをやり直したりする程度ですし、さほど頻繁ではありません。
コインパーキングの場合、料金精算機などに不具合が起こったらメンテナンスが必要ですが、賃貸アパートなどと比べると、その必要性やかかる労力、費用には雲泥の差があります。
災害の影響を受けにくい
駐車場は、比較的災害による影響を受けにくい土地活用方法です。
上に建物が建っていないので倒壊のリスクもありませんし、ひび割れなどが起こっても、補修が容易です。
燃えるものが少ないので、火災が起こる危険性もほとんどありません。
このように、災害リスクが小さいのは、駐車場経営のメリットの1つと言えます。
駐車場経営のデメリット
次に、駐車場経営のデメリットを確認しましょう。
収益が小さい
駐車場経営のデメリットは、収益性が低いことです。
賃料が高額になる都市部のコインパーキングによる収入でも、賃貸アパートなどに比べると、賃料は低くなります。
こうしたことから、駐車場経営はローリスクローリターンの土地活用方法と言えます。
また、駐車場は土地活用効率も低いです。
立体駐車場なら土地を効果的に活用できますが、初期投資費用が高額になりますし、倒壊や老朽化のリスクなども発生するので、ハイリスクの方法となり、初心者にはおすすめではありません。
節税効果が小さい
駐車場経営は、節税効果が小さい土地活用方法です。
土地上に居住用の建物が建っていたら固定資産税や都市計画税の減税が受けられますが、駐車場の場合、こうした減税措置の適用はありません。
また、相続税課税の場面では、小規模の宅地の評価を減額してもらうことができる小規模宅地の特例がありますが、駐車場の場合、これも適用されません。
また、基本的に借地権や借家権が設定されないので、借地権評価による相続評価の減額も認められません。
結果的に、相続税評価額が高額になり、課税される相続税の価格が大きくなるおそれがあります。
景気の変動による影響が大きい
駐車場経営というのは、現在のところ、需要が高い都市部などでは儲かる土地活用方法ですが、今後、このような車社会がずっと続くとは限りません。
若者の車離れも進んでいると言われていますし、実際に都市部ではカーシェアリングなどの人気も高まっています。
さらに、景気の悪化によって車を手放す人が増える可能性もあります。
ただ、景気の悪化や人口減少などによる影響は賃貸アパートにも起こることなので、駐車場に限ったデメリットではありません。
事故や不正駐車等のトラブルへの対応
駐車場内で事故やトラブルが起こったり、不正利用が行われたりするおそれがあることにも注意が必要です。
駐車場内でも車同士の接触事故や、歩行者相手の事故は起こりますし、犯罪が行われるケースもあります。
ここで、「駐車場内の事故には、一切の責任を負いません」などと書いてある駐車場がありますが、このような表示をしていても、管理者に過失があったら責任を問われるおそれがあります。
駐車場内にものが落ちていても放置していた場合や、通路が狭すぎる場合、車止めが壊れていた場合など、放置していると問題です。このような最低限の管理は怠らないようにしましょう。
また、不正駐車の対策もしておく必要があります。月極駐車場でもコインパーキングでも、防犯カメラの設置は必須と考えましょう。
これらの駐車場管理については、自分でするとどうしても不完全になるので、駐車場業者に一括で任せることが第一です。
管理費用がかかっても、損害賠償をされたり責任を問われたりするリスクを考えると、かえって安くなります。
駐車場経営の際の注意点
次に、駐車場を経営するときに押さえておきたい注意点を説明します。
駐車料金の滞納リスク
まず、駐車場の料金を滞納されるリスクがあります。
駐車場の場合、借地借家法の適用がないため、賃料を滞納されたら比較的早く契約を解約して車の収去を求めることができますが、相手が行方不明になったときや車を自主的に収去してくれない場合には、面倒な裁判手続きも必要になってしまいます。
そのようなことが起こらないよう、契約当初の段階で相手をしっかり見極めて審査をすることが重要ですし、保証人をつけてもらうとリスク軽減することができます。
また、月極駐車場で一括借り上げ方式の契約をすると、保証料はかかりますが、空き状況に関わりなく賃料が保証されるため、滞納があってもオーナーには賃料が支払われます。
コインパーキングで、土地賃貸方式にした場合も、駐車場利用者の料金支払いの有無にかかわらず、駐車場業者から土地賃貸借の料金を支払ってもらえるので、リスク軽減できます。
このように、駐車場を経営するとき、一括借り上げや土地賃貸借にすると、賃料が安くなったり手数料を取られたりするのでリターンは小さくなりますが、賃料滞納や管理などにかかるリスクを減らすことができます。
駐車場経営が向いている人
土地活用方法としての駐車場経営が向いているのは、どのような人なのかを見てみましょう。
ローリスクで土地活用したい人
駐車場経営は、他の土地活用方法と比べてローコストです。
初期投資も少なくて済みますし、ランニングコストも小さいためです。
そこで、ローリスクで土地活用をしたい人にはおすすめです。
駐車場業者の一括借り上げ方式や土地賃貸方式などを利用すると、利用者による賃料滞納があっても確実に賃料を受けとることができるので、さらにリスクが軽減されます。
将来的に土地を売りたい人
将来土地を売りたい人にも、駐車場経営がおすすめです。
土地を売るときには、なるべく賃借人がいない方が価格が高額になりやすいので、売却時には更地に戻すことが望ましいです。
賃貸住宅を経営していると、急に契約を解除することはできませんし、太陽光発電をしていると、投下資本を回収するのに10年くらいかかるので、途中でやめたら損害が発生します。
これらに対し、駐車場なら比較的早期に投下資本を回収できますし、契約の解除や更地に戻すことも容易なので良いタイミングが来たらすぐに売却することができます。
一時的な活用をしたい人
一時的な土地活用を考えている人にも駐車場経営はおすすめです。
たとえば、近い将来自分が土地上に家を建てて住みたいけれど、数年間は使わない、といったケースです。
賃貸マンション経営を始めてしまったら、数年後に辞めることが難しいですが、駐車場なら時期がきたときに契約を解除して自分の好きに使うことができます。
狭くて使いにくい土地
駐車場は、狭い土地や不整形地など、どのような場所にも設置できます。
極端な話、車を1台でも停められるスペースがあったら月極駐車場の経営は可能です。
そこで、他に使い道のない土地があってもてあましている場合には、まず駐車場を検討してみましょう。
都市部で需要の高いエリアであれば、狭くても十分メリットを得られます。
駐車場経営の始める時の流れ
以下では、駐車場経営を始めるときの流れを説明します。
土地の形状や条件をチェック
まずは、対象の土地の形状や条件をチェックしましょう。
駐車場にするためには、道路と接していることが必要です。また、道路との間に高低差がある場合には、歩道の切り下げ工事をしなければなりません。
さらに、その土地内に何台くらい車を停められそうかの目算も立てます。
普通車1台に必要な駐車区画は、最小で2.5m×5m程度、理想は3m×5.5m程度です。
また、駐車場内の通路の幅員は、最小で4m以上、理想は5m以上です。
これらの基本的な計算をして、だいたいの条件を把握しておきましょう。
周辺の需要や供給状態をチェック
駐車場経営する対象地の半径1キロメートル圏内に、他の駐車場がどれだけあるかを調べましょう。
月極駐車場については、パーキングポイントというサイトを使うと便利です。
(参照:パーキングポイント)
コインパーキングなら、NAVITIMEというサイトを利用できます。
これらのサイトを利用して、以下の内容を確認します。
「候補地の近くには、月極駐車場やコインパーキングが何カ所あって、稼働状況はどの程度になっているか」
周辺にたくさんの駐車場があって稼働状況もよければ、需要が高いということなので駐車場経営が成功する見込みがあります。
- それぞれの駐車場の料金相場
- それぞれの駐車場の構造(平置き、立駐、砂利敷、コンクリート敷、アスファルト敷など)
駐車場の形態を決める
次に、駐車場の形態を決めます。
具体的には、月極駐車場かコインパーキングかということと、駐車場業者との契約形態です。
月極駐車場は、収益性は落ちますが、狭い土地でも経営できますし、収入が安定しやすいです。
コインパーキングは、収益性は高めになりますが、初期投資費用が高めになり、需要のあるエリアに限定されるなどの特徴があります。
また、それぞれについて、自分で運営管理する方法と、駐車場業者に一括借り上げしてもらったり土地賃貸をしたりして賃料保証を受ける方法があります。
自分で運営すると賃料を全部取れるので収益性は高まりますが、賃料滞納リスクを負うことになります。
管理運営会社を決める
駐車場経営を成功させるためには、管理運営会社の選定が非常に重要です。
良い管理会社を選ぶためには、以下の点に留意しましょう。
良い駐車区画割の提案をしてくれる
まず、駐車区画割の提案が重要です。
駐車台数を多くすることはもちろんのこと、普通車と大型車、軽自動車などの比率をどのくらいにするのか、通路幅や通路の位置などを工夫して、稼働率を上げる工夫もしてくれる業者が良い業者です。
他の管理駐車場の状態をチェック
駐車場業者を選ぶときには、その業者が既に管理運営している他の駐車場の状態をチェックしましょう。
これらがきれいに保たれていて管理が行き届いていると、ひとまず安心です。
反対に、掃除されている様子がなかったり、ものが落ちたままになっていたりする場合には信頼できないので、その業者は辞めた方が良いでしょう。
管理運営の費用が安い
駐車場経営をするとき、不動産業者の活用はほとんど必須ですが、なるべく費用を抑えたいところです。
たとえば、管理費用以外に広告費がかかる業者などは、やめておいた方が良いです。
管理運営委託費の相場は1ヶ月の1台あたりの駐車料金の5%程度ですが、3%程度で依頼できる場合もあります。
ただ、経営状態が悪く、とにかく顧客を集めるために料金を安くしている場合もありますし、料金が安くてもサービスが悪ければ意味がないので、「安かろう悪かろう」のサービスは選ばないことが重要です。
このようにいろいろと検討をした上で、駐車場業者を決めたら、契約をして実際に駐車場の整地工事を開始して、工事が完了したら業者を通じて駐車場経営を開始することができます。
土地活用で駐車場経営する時のまとめ
以上のように、駐車場経営は土地活用方法の中でも比較的ローリスクなので、初心者にもおすすめです。
土地の形状が不整形や狭い土地でも活用しやすいですし、自分ではほとんど何もしなくて良いので、不労収入(不労所得)になりやすい方法でもあります。
いつでも簡単に辞めやすいので、将来土地を転売するときにも役立ちます。
懸念点もいくつかありますが、それを上回るメリットを得られる土地活用方法です。
今、使っていない土地がある人は、是非一度、駐車場としての活用方法を検討してみることをおすすめします。
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