不動産活用

市街化調整区域の不動産を売買する時に注意点しておきたい7つのポイント

不動産を所有している場合、それを売って現金に換えたり、買い換えたりしたいと考えることがあります。

ただ、現在所有している不動産が「市街化調整区域」に存在する場合には、その他のケースと比べて売却が難しくなる可能性があるので、区域内の不動産を上手に売却するには、さまざまな工夫が必要です。

今回この記事では、

1.市街化調整区域に家や土地がある
2.市街化調整区域の不動産を売りたい

対象地域の方は一度読んでみてください。

市街化区域や市街化調整区域について正しい理解をする事で事前準備ができるはずです。


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市街化調整区域とは

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土地や建物などの不動産を売却するときには、その不動産が市街地調整区域内のものではないかを確認する必要があります。

「市街化調整区域」と言われてもピンと来ない人が多いかもしれません。

そもそも市街化調整区域とはいったいどのようなものなのでしょうか?

市街化調整区域の調べ方

市街化調整区域は、開発を調整して都市化を抑制する地域のことです。

国や地方公共団体は、日本の国土が適正に利用されるように、

「都市化を“促進する”地域」

「都市化を“抑制する”地域」

に分けています。

日本の国土は限られていますが、これが過度に開発されてしまったら、自然破壊や環境汚染などが酷くなり、人が住みにくくなってしまいます。

反対に、国土の開発を全く行わない場合には、人が住む場所が確保されなかったり産業が発展しにくくなったりして、やはり問題が起こってしまいます。

そこで、都市化を促進する地域と抑制する地域を指定して、バランス良く調整することにより、適正な国土利用をしようとしているのです。また、国が定めた都市計画法もこのような目的を持った法律です。

そして、市街化調整区域とは、このような都市計画事業において、市街化を促進しない地域として定められた区域のことです。

これに対し、

市街化区域とは、市街化を促進する地域として定められた区域のことを指します。

既読

簡単に言えば、自然や環境保全のための地域が市街化調整区域です。

市街化調整区域と市街化区域

市街化調整区域と市街化区域にはどのような違いがあるのか、見てみましょう。

それぞれに建物の建築制限がある

まず、2つの区域には建物の建築制限があるかどうかで異なります。

市街化区域では、積極的に都市化が進められるので、建物の建築制限は行われにくいです。これに対し、市街化調整区域では、できるだけ都市化を抑制して自然や環境を保護しようとするので、建築制限が行われることが多いです。

都市計画税に差が出る

都市計画税の負担でも異なります。

都市計画税とは、不動産を所有している場合に発生する税金の1種です。

市街化区域では、積極的に都市化が進められるので、そのためにかかる費用が必要となり、都市計画税の負担が発生します。

これに対し、市街化調整区域では都市計画税の負担はありません。

この意味においては、市街化調整区域の不動産を所有している方が、市街化区域の不動産を所有するよりメリットがあります。

市街地開発事業の対象になるかどうか

市街化調整区域と市街化区域は、市街地開発事業の対象になる頻度においても異なります。

市街化開発事業とは、都市化を積極的に促進するための国や地方自治体の事業のことです。

具体的には、都市再開発法 による「市街地再開発事業」や土地区画整理法による「土地区画整理事業」、新住宅市街地開発法による「新住宅市街地開発事業」、そのほか「住宅街区整備事業」「工業団地造成事業」「工業団地造成事業」、新都市基盤整備法 による「新都市基盤整備事業」があります。

市街化区域は、これらの市街地開発事業の対象になりますが、市街化調整区域は対象にならないことが多いです。

既読

市街地開発事業の対象にならないことがメリットとデメリットがあります。

市街化区域での農地転用について

農地を農地以外の目的で使用するためには「農地転用」という手続きが必要です。

市街化区域では、積極的に都市化を進めたいので農地転用手続きが簡略化されていて、自治体への届出だけで済みます。

しかし、市街化調整区域では知事の許可が必要となります。

また、転用が簡単な分、市街化区域では、農地であっても高額な固定資産税が課税されますが、市街化調整区域では、農地の固定資産税は宅地よりかなり安くなります。

以上のように、市街化区域では都市化が促進されるため、建築や農地の転用などは自由ですが都市計画税の負担が発生します。

反対に、市街化調整区域では、都市化が抑制されるため、建築などが制限されて農地の転用も面倒ですが、都市計画税はかからないなどのメリットがあります。

既読

農地転用を行なう場合でもメリットとデメリットがあります。

市街化区域と市街化調整区域の違い

【市街化区域のポイント】

建築や農地転用がしやすいものの、都市計画税の負担がある。

【市街化調整区域のポイント】

農地転用の許可がしにくく、建築にも制限があるが都市計画税の負担がない。

市街化調整区域の線引きとは

市街化調整区域のことを正しく理解するためには、「線引き」についても知っておくといろいろな場面で役立ちます。

この区域の線引きとは『市街化調整区域や市街化区域を指定すること』です。

線引き前は、市街化区域も市街化調整区域もなく、同じように取り扱われていましたが、線引き後、現在のような異なる取扱いが行われるようになりました。

線引きが行われたのは、だいたい昭和45年~46年頃です。そこで、線引き前から存在していた物件の場合には、線引き後に建てられた物件と異なる取扱いがなされることがあります。

市街化調整区域での不動産売却が難しくなる理由とは?

それでは、市街化調整区域内の不動産は、どうして市街化区域の不動産より売りにくいのでしょうか?

以下でその問題点を見てみましょう。

不動産の評価額が低くなりがちで希望価格で売れない

市街化調整区域の不動産は、市街化区域の不動産よりも評価が低くなることがあります。

それは、市街化調整区域には建築制限などもあるので土地活用がしにくいですし、生活や産業に必要なインフラなどが整っていなかったり、不便な場所にあったりするためです。

また、下水道が通っていない場所もあり、そのような場所では浄水槽をつけないと生活ができません。中には電気やガスも通っていないところもあります。

実際にそのような不便な場所に住みたい人はなかなかいないでしょう。

このように、市街化調整区域は生活や産業に向かないことが多いので不動産の評価が低くなりがちです。

そうなると、売り主としては売却代金に納得できないことが増えて、結果として売りにくくなります。

住宅ローンが組みにくい

住宅を売買する際には、一般的に買い主が住宅ローンを組むことが多いです。

しかし、市街化調整区域では住宅ローンを組みにくいケースが多くあります。

先に説明したように、市街化調整区域の不動産は評価が低くなりがちです。

金融機関は住宅ローン審査を行うとき、対象の不動産の価値を見繕って、それに応じた貸付をしています。

担保価値の高い物件なら、仮に債務者がローンを支払えなくなっても物件を競売にかけて回収ができるので、比較的住宅ローンが通りやすいですが、担保価値の低い物件にはリスクがあるので高額な住宅ローンは通さない傾向があります。

そして、市街化調整区域内の不動産は、評価が低いわけですから、担保価値は低いです。よって、住宅ローン審査が通りにくくなり、買い主が住宅ローンを利用できなくなることがあります。

不動産の売買契約を締結するときには、買い主が住宅ローンを利用できない場合には解約するという内容になっていることが多いのですが、市街化調整区域の不動産であるが故に住宅ローンが通らないと、売買契約はなかったことになってしまい、売却が困難になります。

土地活用や農地売買や宅地の用途変更が難しい

市街化調整区域には建築制限がありますが、このことも売却にとっては大きな障害となります。

不動産を購入する人は、将来的に土地上の建物を増改築したい人も多いですが、市街化調整区域の場合にはこうしたことが難しくなる可能性が高いです。

また、将来的には、今建っている建物を壊して、新しい建物に建て替えたいと考えていることもありますが、市街化調整区域では、新たな建築が認められない可能性があります。

しかも、市街化調整区域の物件は一般的に売りにくいと言われているので、購入者が「やっぱり売却したい」と思った時にも、うまく売却できない恐れがあります。

このように、市街化調整区域の不動産を購入すると、活用や売却が難しくなるため、購入希望者を探すのが困難になります。

その結果、やはり不動産を売りにくくなってしまうのです。

既読

読んで頂いたように市街化調整区域に指定された不動産は、売りにくいです。

既読

しかし、すぐに売ろうとするのではなく、しっかりポイントを抑えて事前準備する事ができれば上手く売る事はできます。

市街化調整区域の不動産売却の際のポイント

それでは、市街化調整区域の不動産を上手に売る方法はないのでしょうか?

以下でそのためのポイントを紹介します。

自治体による区域の指定がないかチェックしてみること

市街化調整区域にとして指定されている場合であっても、地方自治体によって「区域指定」が行われている場合には、比較的売却しやすくなります。

区域指定とは、自治体が区域を指定して、一定の開発において許可することです。

市街化調整区域の場合、認められた人しか開発ができませんが、区域指定されると市街化調整区域内であっても、「誰でも」住宅などの建物を建築することができるので、活用がしやすくなります。

自治体によって区域指定が行われるのは、たとえば40~50棟以上の住宅が狭い感覚で並んでいる場所や、住宅が道路に接している場所、上下水道が整備されている場所などです。

市街化調整区域内に不動産を持っていて売却しようという時には、まずは自分の不動産があるエリアに自治体の区域指定が行われていないかどうかチェックしましょう。

市街地開発事業の対象になっていないかチェックしてみること

市街化調整区域であっても、市街地開発事業の対象になっていると、売却がしやすくなります。

市街地開発事業については先にも少し説明しましたが、都市化をすすめるための地域です。基本的には市街化区域が指定されますが、市街化調整区域であっても、市街地開発事業の対象になるケースがあります。

たとえば、

・都市計画事業
・土地区画整理事業
・市街地再開発事業
・住宅街区整備事業

これらなどの区域に指定されていたら、建築の際の許可が不要になり、活用がしやすくなります。

建築制限が緩和されたら市街化調整区域の不動産でも売りやすくなるので、自分の不動産のあるエリアが市街地開発事業の対象になっていないかどうかについても確認しておく必要があります。

地目を調べてみること

市街化調整区域の不動産の中でも売りにくいのが農地です。農地は、基本的に農地としてしか利用することができません。

宅地などの他の目的に利用するためには、知事の許可が必要になってしまいます。

農業をやりたい人にとっては不都合がありませんが、そのような人を探すのは難しいこともあるので、農地の場合には非常に売りにくくなってしまいます。

もし、自分の所有物件の地目が農地になっている場合には、農地を他の目的にも利用できるように「農地転用」という手続きをすることが必要になります。

これに対し、市街化調整区域内の不動産であっても、それが宅地であれば、活用がしやすいので売りやすいです。

市街化調整区域内に不動産を所有している場合には、まずはその地目がどうなっているのかを調べましょう。地目は、対象の不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)を取得したら、確認することができます。

既読

登記簿謄本は各地域管轄の法務局でできます。窓口に行って申請書に記入して提出するだけですので、所有する不動産の地目が分からない場合は実際に行って確認してみるとよいでしょう

線引き前の物件か後の物件かチェックしてみること

市街化調整区域内の不動産が建物である場合、それが「線引き前から建っている建物」か、「線引き後に建てられた建物」かが重要な問題となります。

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線引き前からの建物のケース

線引き前から建っていた建物の場合には、建築制限が緩和されます。

線引き前から建物があった場合、行政が急に線引きをしたせいで、その建物に規制をかけることは所有者にとって酷だという判断があるためです。

そこで線引き前からの建物の場合、売買についての許可は不要ですし、建て替えや増改築を行う場合の制限も緩くなります。

線引き後の建物の建て替えや増改築の具体的な要件は、以下の通りです。

  • 現在の建物と用途が同じこと(次も住宅用建物を建てる場合)
  • 現在の建物と同一の敷地であること(敷地の拡大をする場合には許可が必要)
  • 現在の建物と同程度の建物を建築すること(延べ床面積が5倍までなら許可が不要)
  • 計画している建物の延べ面積が300平方メートル以下の小規模な建物の場合には、従前の5倍を超えても許可が不要

このように、線引き前からある建物の場合には、市街化調整区域内の建物であっても比較的活用がしやすいので、売りやすくなります。

線引き後に建てられた建物のケース

反対に、線引き後に建てられた建物の場合には、厳しい制限が課されます。

まず、建物の売却をするだけでも「建物の用途変更」とみなされて、許可が必要になってしまいます。売却にいちいち許可が要るとなると、それだけでも面倒に感じて敬遠する買い主がいるでしょう。

また、将来的に建物の増改築や建て替えの際には当然許可が必要です。

このようなリスクを負ってまで不動産を購入しようという人は少なくなるため、線引き後に建てられた建物のある不動産は売りにくくなります。

以上のように、市街化調整区域内に不動産を所有している場合には、線引き前に建てられたのか線引き後に建てられたのかが重要です。

線引きが行われたのは昭和45年~46年頃であることが多いので、自分の建物がいつ建てられたのかをチェックしましょう。

建物が建築された年は、建物の全部事項証明書を見ると、確認することができます。

環境が良いことをアピールする

市街化調整区域内の建物を売却したい場合には、所有する不動産の利点をアピールすることも有用です。

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市街化調整区域は、都市開発が行われていないので自然がたくさん残っていて環境が良いことが多いです。

また、宅地であれば、市街化調整区域であってもさほど不便ではありませんし、建物の利用もできるので、さほど大きなデメリットはありません。

最近では地方移住や田舎暮らしも流行っているので、そのような希望を持っている人にアピールすると、スムーズな取引で売れやすいこともあります。

そこで、市街化調整区域内の不動産を売りたい場合には、環境が良いことなど、利点をアピールすると買い主を見つけやすくなる可能性があります。

価格が安いことをアピールする

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市街化調整区域内の不動産は評価が下がりやすいという話をしましたが、それは逆に言うと、同じ面積で同じような家でも市街化区域より安く買えるということになります。しかも環境も良く、さほど不便ではないこともあるので、売主にとっては大きなアピールポイントとなります。

そこで、市街化調整区域の不動産を売りたい場合には、市街化区域内の不動産と比べて同じような条件なのに価格が安く、お得であることをアピールすると売りやすくなります。

良い不動産業者に仲介を依頼する

市街化調整区域内の建物は、市街化区域の建物と比べると売りにくくなることがありますが、それも売り方次第で変わってくるものです。

不動産を売却するときには、不動産仲介業者に依頼することが多いですが、不動産仲介業者にもいろいろな会社があります。

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ポイントを抑えて上手に不動産を売却しよう!

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今回は、市街化調整区域のことと、市街化調整区域内の建物を上手に売却するためのポイントを解説しました。

市街化調整区域とは、都市化が抑制される地域のことです。

市街化調整区域内の不動産の場合、建築制限がかかったり、住宅ローンを組みにくかったり、評価が下がったりするので売りにくくなるケースがあります。

しかし、区域指定が行われている地域なら建築が比較的自由ですし、地目が宅地で住宅地にある場合、線引き前からある建物の場合などは売却がしやすいです。

市街化調整区域内の不動産を有利な方法で売却するには、良い不動産会社選びも大切です。

現在、不動産の売却をすすめている人は、今回の記事内容を参考にして、まずは対象の不動産の全部事項証明書の記載内容などをチェックして、上手に売却手続きを進めていきましょう。


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