不動産売却

牧場経営をやめて売却したい…売る前に知っておくべき留意点

朝早くから遅くまで生き物のお世話をする牧場経営は、体力が必要な仕事です。

「高齢になって仕事が大変」「体力が続かず将来が不安」など、経営をやめたいと考えるケースもあるでしょう。まずは売却することを考えるかとおもいます。

ただ、牧場は、特殊な土地であるがゆえ、注意すべき点も多いもの。何も知らないままだと、不安が大きくなるばかりです。

今回は、牧場を売却するときに把握しておきたい留意点について説明していきます。

▼牧場売却の悩みをスッキリ解決!
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牧場の売却とその方法について分からないことがあるとモヤモヤすることって多いですよね。

「牧場の売却で失敗したくない…」

「牧場を売る方法が分からない…」

「何も問題なくスムーズに売りたい…」

今回は、このような悩みを持った方に対して、できる限り分かりやすく細かく解説しています。

▼本記事の結論とポイント
牧場は農地法に基づくルールの中で売却の流れが決まっています。

しかし、ほとんどの牧場経営者はそのルールを詳しく知らないため、時間がかかってしまっていたり、適性価格で売却できているのかが分からないため、失敗や放置してしまう事も多くあります。

もちろん牧場をそのまま放置していると環境悪化と同時に税金が多くかかってくるため、ほとんどの方が売却や活用してお金に変えています。そうした時におすすめなのが不動産のネット査定です。

もし、既に決めている不動産屋があれば良いのですが、まだ決めていない場合は「イエウール」や「タウンライフ」を使うことで牧場の状態や環境に合った売却価格を知れたり、相談することができます。

先に結論を見たい方は、本記事内の「牧場の売却まとめ」に飛ぶとすぐに確認できます。

居抜きで牧場を売却できるもの?

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事業系の不動産売買でよく耳にするのが「居抜き物件」という言葉です。飲食店などの店舗でよく聞かれる言葉ですが、牧場でも居抜きのスタイルで売ることができます。

売却するときには、売り手にとっても買い手にとってもメリットがあります。

そもそも居抜き物件とは?

居抜きとは、現在のオーナーが建物の内装や設備をそのままで売り出す物件のことです。特に、飲食系の店舗に多く、全テナントのキッチンや什器などを撤去することなくそのまま売り出しています。

居抜きで売却するメリット

現在のオーナー側からすれば、建物を取り壊して更地にする手間や費用がかからないのがメリットです。「解体の費用をかけたくない」「すぐにでも売却を進めていきたい」という売主におすすめです。

一方で、買い手にとってもメリットがあります。

建物を新築したり、設備や什器を揃えたりなど、手間や工事期間が短縮されるので、「すぐにでも事業を始めたい」というのが魅力的にうつることでしょう。しかも、建物の建設費用や設備の購入など、初期費用を大幅におさえられます。

デメリットは…?

居抜きで売るデメリットは、建物や設備を残しておくため、購入ターゲットに縛りが出ることでしょう。タイミング良く、「牧場をやりたいと思っていた」という買い手が現れるなら、それほどラッキーなことはありません。

しかし、飲食店や美容院などと違って、牧場経営をしたくて土地探しをしているという人は少ないので、居抜きでそのまま売却するのは難しいことかもしれません。

牧場を売るときに知っておきたい点

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「牧場を売る」のは細かい規制もあり、住宅地を売却するようにスムーズにはいきません。

牧場の地目について理解しておく

不動産売買では、「地目」によって、土地の種類が分類されて、登記されています。多くの人が売買する土地は、住居を建てる目的のための「宅地」ですが、そのほかなんと用途ごとに23種類もの地目があります。

牧場は農地と同様に規制が多い土地

地目のなかでも、米を作るための「田」、野菜や果物を作るための「畑」など、農作業を目的としている土地を農地と言います。牧場の地目は、ストレートに「牧場」という地目に分類されていますが農地法の規制がある土地の一種です。

農地は、農地法で売買に関しての規制があるので注意しなければなりません。権利が移転できるのは農業従事者だけという規定があると同時に、売買をするときの内容によって、土地がある都道府県知事や農業委員会からの許可を受ける必要があります。

牧場は「採草放牧地」で農地法に沿った売却が必要

牧場という地目の土地は、農地法が適用対象の「採草放牧地」です。

採草放牧地の定義は「家畜の放牧の目的のための土地」なので、牛舎や馬舎、牧場に建っている建物を解体すれば、現況的に牧場ではありません。建物を解体して、更地にしたうえで売却するならば、農地法5条により、「農地以外に転用して権利を移転する」という手続きが必要です。

牧場という地目のまま売るのか、それとも地目を転用して売るのかによって、手続きや流れ等が変わってきます。

いずれにしても、必要な許可を受けずに売買が進んでも、最終的に無効になるおそれがあります。自分だけでは分からない点が多すぎるので、気になる点は不動産会社や専門家のアドバイスをもらうことが大切です。

牛、馬をどうするか

牧場を売るときには、牛や馬などの家畜をどうするかをかんがえなければいけません。ほかの牧場に引き取ってもらうなど、買い手がいれば処分せずに済むうえ、売却代金が入ってきます。

しかし、引き取り手がなければ、残念ながら処分という形になってしまいます。その際には、処分のための費用が出ていくことを想定しておいた方がいいでしょう。

更地にして売る方法

牧場の立地や周辺の環境がよい、牛舎や馬舎など建物や設備が比較的新しいなど、条件次第では「ここで酪農をやりたい」という人が現れる可能性もあります。しかし、立地や環境で特に目立ったアピールポイントがないと、売り出してもなかなか売れずに年数が経つこともあります。

そこで考えるのが、解体して更地にして売り出そうということかもしれません。

解体して売却するメリット

牧場の土地の形状は特殊です。市街地からの距離もそれほど遠くない、敷地の広さがじゅうぶんにある、道路の環境が良く人々が来やすい…など、好条件であれば宿泊施設を営みたい事業者から注目されるかもしれません。

そのほかにも、大きな施設を建設したい、遊園地を作りたいなど、丘陵地の形状を活かした事業を考えている人にまで購買層が広がるでしょう。その際は、現在の地目が牧場のままなら農地法の対象なので、転用許可を忘れずに行う必要があります。

解体するデメリットは…?

売却前に解体するとなると、いったんその費用を捻出しなければならないのがデメリットです。建物の構造や規模、廃材の処分方法など、細かい条件で一概に言えませんが、すでにある建物を取り壊してリセットするには多額の費用がかかります。

貯金などで一時的に賄えれば問題ありませんが、持ち出せるお金がなければどこかから借りなければならないでしょう。

また、売却代金が入ったときに借金の返済がカバーできるかどうかも分からず、場合によっては赤字になることもあり得ます。売れる見込みがないのに更地にするのはリスクも考えておく必要があります。

牧場の売却まとめ

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牧場は農地法の対象となり、一般的な不動産売買の流れではスムーズな売却ができません。そのため、売却を決意してから買い手が見つかるまでは長い道のりになってしまうものです。

知らないことが多ければ「後からゆっくり考えよう」と売却に前向きになれないかもしれませんが、先延ばししている間に健康上の理由などで経営が続行できなくなる可能性も少なくありません。

「そのまま売れるかどうか」「解体して売ればよいか」など、状況によってベストな選択は異なりますが、売却を考えたときには、早めに行動を心がけたほうが賢明です。

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